ワクワクしながら読みました。
フェラガモ創業者、サルヴァトーレ・フェラガモの自伝です。
セレブなアーティストの物語かな、と思ってあまり期待してなかったのですが、ページを開いたとたんに引き込まれて「歩き読み」したくらいの面白さでした。
靴が大好きな職人アントレプレナーの物語です。
確かに天才的な職人なのですが、技術がすぐれているだけでなく、「足にぴったりの靴をつくりたい」「足を健康にしたい」という衝動に従って、周囲の反対を押し切って自分のアイデアを実現していくところは靴の世界のアントレプレナーです。
二度の戦争を乗り越え、一度は破産も経験しながら履き心地の良い靴・美しい靴をつくる挑戦を続けてきた筆者。
靴をはかせることで何人もの歩けない足を治してしまうくだりは、神業!とまで感じます。
顧客だった往年の名女優の写真もたくさん載っていて、ファッション好きな人も楽しめますが、特にものづくりに関わる人にとって共感できる部分が多い本なのではないかなあと思いました。
靴を作るのは初めてだから、恐ろしく時間のかかる作業だったが、なぜか作り方はわかっていてときの経つのも忘れ、夢中で仕上げた。
※ このときサルヴァトーレ9歳
私は、靴屋になるために生まれてきた。それは分っている。ずうっと分っていたことだ。いま自分の生きてきた長い修行の道のりを振返ってみると、はっきりと分るのは、幾多の困難にぶち当たっても前へ前へと駆り立てた己の内にある情熱が、いかに強く、悔いなく、また、たゆみなきものであったかということだ。
行き詰まったときによくあることだが、その答えはある日突然浮上したのだった。もし大量生産方式だけで私の靴を作れるとしたら、さらにもし私の水準と名声を維持できる唯一の方法が手作り靴だとしたら、手作り靴を大量生産方式で作るというシステムがなぜできないのか?
最初、このアイデアは馬鹿げて見えたが、私は自分に問いかけた。本当に馬鹿げたことだろうか?
私の妻には七歳になる甥がいたが、三年前にかかった小児麻痺のせいで、片方の足が曲がってしまっていた。(中略)私の治療法は、片方ずつ違うシステムの靴を作ることだった。悪い足にぴったり合う靴を作り、いい方の足には地面に着けた瞬間に足を締めつける靴を作った。(中略)八~十週間で杖がいらなくなり、普通に歩けるようになった。
